e-Book Firstは何時やってくるのか?

三回目の今回は、電子書籍についての私の考えを述べたいと思います。

e-Bookというと、日本では情報商材のようなビジネスに使われるが、本来的にはインバウンドマーケティング等でより深く情報を提供したい場合に利用されるものだと思って下さい。

ここではe-Bookとは電子書籍という”くくり”で話をしたいと思います。

2013年度 電子書籍コンテンツ市場の需要予測 (引用元:ICT総研)

この数字の通り2013年度の普及が進んだのかは分かりませんが、少なくとも漫画の数だけは圧倒的に増えており、多分肌感覚では「進撃の巨人」の盛り上がりに合わせて紙/電子共に部数を伸ばしたのではないかと考えております。

さて、ここで一般的な書籍(本屋)と電子書籍電子書籍販売サイト)の機能的な違いを考えてみると、こんな違いがあると考えられます。

◆一般的な書籍 ・中身が最後まで読めて、読んでから買う事も出来る。(大手書店の漫画やコンビニ等は最近は無理な所も増えている。) ・ぱらぱらとめくれる。 ・アノテーションが容易 ・検索が出来ない。(索引を付けている場合もあり) ・インターネットに接続する場合は別途端末が必要。 ・長時間読んでいてもそれほど疲れないものが多い。 ・本との出会いは偶然性による所が多い。 ・基本的にレコメンデーションはされない。 ・大量に保有するとかさばる。 ・出版する為のハードルが高い(新人賞を取るか、自費出版するか) ・在庫という概念や物理的な距離があるため自宅での衝動的な購入など機会損失を生む場合もある。(Amazon等で1clickして数日末という方法もあるが) ・再販制度がある ・すった分だけ前倒しでお金がもらえる ・印税は10%程度貰えたら御の字

電子書籍 ・読んでから買う事は原則出来ない。出来たとしても一部。 ・PDFとePubなど規格が統一されていない。 ・検索が得意(ただし、画像認識させたものではなくOCR認識させた文字等) ・アノテーションが苦手。 ・端末によっては長時間読み続けるのが難しいものもある。 ・何を持って電子書籍かが定義されていない。(ePubなのか、メルマガなのかHTMLなのか) ・大量に保有してもかさばらない。 ・書籍→電子書籍変換をすると、大半の場合は書籍を裁断する必要がある。 ・インタラクティブに作り込む事も出来る。(iBook Autherなど) ・インターネットとの融和が比較的容易 ・レコメンデーションを各サイトからやってもらえる ・偶発的な出会いが訪れにくい(書籍サイトの構成による) ・出版コストが非常に安い。 ・マーケティング的には買い手も売り手も機会損失を生み出しにくい。 ・在庫という概念が無い。 ・再販制度が無い ・売れた分だけお金が入る ・手数料が最大30%しか取られない。(個人の場合)

など、色々上げましたが、上記を見る限り本と書店の関係と電子書籍電子書籍サイトの関係性は似て非なるものであり、今すぐお互いを食いつぶし合う存在にはならず、相互補完と言えば相互補完となると思われます。

むしろ、専門性を失った書店や大型書店は衰退して行く方向かも知れません。ただ、それには10年以上掛かると思います。そこに先手を売ったのが蔦屋書店であるのは皆さんご存知の通りです。先日の記事にもある通り、インフォメディアリとしての価値を考えた時に、電子書籍のポジションはインフォメディアリではありません。つまり、普及に関しては時間が掛かるか、それを上回るインセンティブが必要だと言う事です。

トヨタで言えばプリウスの普及になんだかんだで15年程度掛かっている訳で、新しい市場を生み出す為にはそれぐらいの時間は掛かるという事です。

ただし、アメリカのような土地柄はちょっと違います。物理的な制約を突破しなければいけない場合は必要条件になりますので、Kindleの様に覇権を奪ってしまうという事もうなずけます。(バーンズアンドノーブルが転けたのは書籍の感覚でやろうとしたからに他なりませんね)

さて、ここで前回の話を思い出していただきたいのですが、クックパッドvs楽天の時に、いったいクックパッドの何処にみんなお金を払っているのだろうか?という内容があったと思います。はい、フリクションポイントって奴ですね。このインセンティブを何処に持っていくのかで機能的な部分を考えると、以下のポイントでは無いかと思います。

1:買いに行かなくてよい 2:思いついた時に任意のタイミングで対象の書籍にアクセスする事が出来る 3:検索が容易(漫画以外) 4:キーボードを使ったメモ(アノテーション

このうち、日本人とくにレイトマジョリティにとって必須の機能はどれなんでしょうか?多分、どれでもないと思います。なぜならば、読む本の種類(ビジネス書か小説なのかなど)によってそれぞれ求めるものが変わってくるからです。ビジネス書等は上記2番や4番の内容が求められるでしょうし、小説ならばどれも当てはまらないと思われます。

小説を読む人は小説を買うという行為自体を楽しんでいる人たちであり、ビジネス書を読む人たちはそこに書いてある昨日主義的なTIPS集から新橋のサラリーマン的な(芦田先生からの受け売りですが)些末な情報を得る事に終始するため、多読する事がメインとなりますから、求めている事が違う、という事になります。

もっといえば、中古本屋にビジネス書を買いに行く人はあまりいないし、逆に小説を買う人は中古本屋に足を運ぶという事です。これは、書店よりも陳列に愛が無い中でも絶版本を探し当てようとする努力だったり、奇跡的な一期一会に期待する人が多いと思われる為です。

話を戻すと、電子書籍端末はまだまだアーリーアダプタフェーズを超えて行かないという事になります。既存の出版社に取っては脅威だ!となるかもしれませんが、お客さん達はちゃんとそれぞれのメリットを見ています。今起こっているのは数年前に起こった音楽のクラウド配信への脊髄反射と全く同じであり、ジャパゾン(「ジャパゾン」目指してAmazonに対抗 「電子書籍販売推進コンソーシアム」設立)なんてものを作ろうとしていたりしてます。

私とてしては後10年後どうなっているのかを真剣に考えるならば、上流と下流を押さえられているのであれば、コンテンツの供給元としてしっかりがんばれ良いのではないかと思ったりします。ここら辺が弊社の目的の一部でもあります。

ちなみに、広義の意味での電子書籍端末はガラケーですが、kindleアプリやiBooksアプリを考慮すると日本ではiOS端末、海外ではAndroid端末が最も普及している電子書籍端末となっており、将来的には結局のところ、専用端末が40%、スマートフォンタブレットが残りぐらいになるのではないでしょうか。

これには一つデジタルデバイド問題の解消という問題があります。今の子供達の学校教科書が徐々に紙からタブレットに置き換わった場合を考えると、最初から紙なんか無かった事になり、電子機器で読む事が当たり前になった段階から爆発的な普及に繋がるのではないかと思っています。(これからの技術で手書きアノテーション問題がクリアされればですが、入力がもう少し簡単になれば、ソフトキーボードでも良いかもしれません)

このように子供達世代と我々世代では電子機器への距離感が全く違いますし、書籍への思い入れも違ってきます。そうすると、我々やもっと上の世代に向けたソリューションとしてジャパゾンは案外有効かもしれません。これは、先ほどの書店で購入するまでの流れと電子書店で購入するまでの流れが全く違うからです。本を立ち読み出来る事と所有する欲求というものが全く違うという事を考えると、書店で読んで書店でバーコードをスマホアプリで読めばGPSで書店を選んでカードで決済し電子書籍を購入可能とするのか(売上は後から取り次ぎ経由でバックされてくる)、書籍を買えば電子書籍のダウンロード権利もついてくるのかどちらかの流れができれば、ぱらぱらとめくりながら立ち読みをし気に入ったら購入するという流れにもそうかと思います。こうなると、中古ショップ問題も解決して行くのではないでしょうか。一部の裁断PDF電子書籍派だけが中古ショップを利用し縮小して行く流れなのかも知れません。(ただし、DVDレンタルの様に値段が安すぎるとインセンティブが働かなくなり、ネットで見る事に価値があまり無い場合もある)

と色々書いてきましたが、最終的にはkindle一人勝ちしそうだなと思っており、電子書籍時代のコンテンツ作りを中心に考えて行くべきではないでしょうか。

事実上のデファクトスタンダードが世の中の覇権を握るのは世の常であり、顧客に最も近いところにいれば完成度の高さよりも使い勝手と認知度の問題だというのは歴史が語っておりますので、そこにどのように追従していくのかがこのビジネスの鍵になると私は考えています。

私が最終的にやりたいのは電子書籍ファーストになってくれて、紙というものが高級品扱いになり、オンデマンド印刷でしか紙の書籍は手に入らないような世界も良いのではないかと思う。本は元々高級品だったのだから、そんな未来があっても面白いと思いました。