ピクサー・イン・ア・ボックス「ストーリーテリングの技法」1(fictaファンクラブ限定公開記事を一般開放しました)

ピクサー無料講座「ストーリーテリングの技法」日本語訳その1

秘密のfictaファンクラブの方限定で、ピクサーの無料講座「ストーリーテリングの技法」の日本語訳を公開いたします。

今回は、レッスン1の導入文と、1つ目の動画「ストーリーテリングへのイントロダクション」の翻訳です。

<追記>2月24日(金)にカーン・アカデミーの翻訳担当の方から掲載許可をいただきましたので、一般公開致しました。

※本記事のキャプチャーはすべて、カーン・アカデミーで公開中のピクサーの無料講座「ストーリーテリングの技法」レッスン1の導入文と一つ目の動画「ストーリーテリングへのイントロダクション」からのものです。


1.わたしたちはみんなストーリーテラー(導入文)

何が、ひとを良いストーリーテラーにするのでしょう? ストーリーテリングは、わたしたちみんなが幼いころから自然にしていることです。でも、良いストーリーテリングと最高のストーリーテリングとの間には違いがあります。このレッスンでは、ピクサーのディレクターやストーリーアーティストが、どのようにしてこの道に進んだのか、どんなストーリーに感銘を受けたのかを紹介します。それによってみなさんは、自分がどんなストーリーを語りたいのか、考え始めることになるでしょう。

1-1. ストーリーテリングへのイントロダクション(動画)

 

ヴァレリー「調子はどう?」
ピート「今日はついてないんだ」
ヴァレリー「なにがあったの?」

(以下、ピートの語り)

ここでヴァルが言っている「なにがあったの?[What happened?]」は、「話を聞かせて[tell me a story]」ということです。これこそ、今期のコースのテーマです。

ピクサーの映画は何年もかけて作られますが、すべてはストーリーから始まります。

人類は、話せるようになって以来、いや、もしかしたらそれ以前から、物語を語り続けてきました。焚き火を囲んで物語ったり、劇や小説、短編を書いたりします。映画を作ったり、写真をとったり、ツイートし合ったり、例を上げればきりがありません。

トーリーの強さとは、人々と感情のレベルでつながることができるところです。
よく言われるアドバイスのひとつとは、「あなたが知っていることを書きなさい」というものです。でも、子どものころは、「ミネソタ郊外のことなんて、つまらないから書きたくない」という感じでした。私は、爆発やモンスターやカーチェイスについて書きたいです。


つまり、言いたいのは、「モンスターや爆発やカーチェイスについてはどうぞお書きください、でも、自分自身の人生について伝えるもの、自分が感じていることについて伝えるものをそのなかに込めてください」ということです。

あなたは恐怖を感じたり、孤独を感じたりしますか? あなたの人生から出てくるものはきっと、ストーリーをただの退屈なカーチェイスではなく、生き生きとしたものにさせます。

わたしがモンスターズ・インクディレクションを始めたとき、わたしはそれを、仕事として子どもを怖がらせるモンスターについてのものだと説明していました。それが彼〔サリー〕の仕事です。

彼は出勤し、退社し、ドーナツを食べ、労働組合のすべきことについて話します。私たちは、とてもおもしろいアイデアだと思いました。そしてやはり、ほかの人に話せば、その人たちも笑ってくれました。

しかし、私たちがこのストーリーを映画として語ったとき、人々は飽きだし、落ち着かなくなりました。それは、「これは何についての映画なのかわからない」と言っているようでした。

それでわたしがようやく理解したのは、「この映画は子どもを怖がらせるモンスターについてのものではなく、父になろうとする男の話だ」ということでした。これは、私自身に起こったことでした。

だから、「なぜ自分の知っていることについて書かなければならないのか」といえば、それは、「あなたに起こったことは、ある固有の感情を起こさせるのであり、あなたがストーリーを語るときにしようとしていることは、聞き手に同じ感情を起こさせることだから」です。

私にとっての重大な新事実とは、ストーリーを語るのは、それがどれほど労力を要するものか、ということです。わたしがいつも考えたのは、ストーリーを語るのは一度だけで、それは完璧なものだ、ということです。そして、ウォルト・ディズニーや宮﨑駿のような天才たちの場合、その才能は、その頭から一度に生まれ出て、そこにある、と思っていました。

でも、実際のところ、私たちのストーリーは、最初から完璧なかたちで生まれ出ることはありませんでした。あるいは、2回目でも3回目でも4回目でも完璧にならないこともありますし、30回に及ぶこともあります。だから、繰り返しつづけるしかないのです。

 

そして、何度も何度もストーリーを語り直してはじめて、本当のひらめきがあります。

今期のピクサー・イン・ア・ボックスは、「ピクサーの私たちが、どのようにストーリーを語るのか」についてです。これをきっかけに、あなたが自分のストーリーを語り出すことを望んでいます。

ヴァレリー再登場)

ヴァレリー「それにしても、本当になにがあったの?」
ピート「ああ、それじゃあ、まずはデスクに向かうよ。いいだろ?今は朝の8時だから……」(話しながら二人は立ち去る)


 

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これを機に、あなたの「やりたい」を「できた!」に変えましょう!

※本記事は、カーン・アカデミーが掲載している米Pixar社の動画教育コンテンツに許可を得て翻訳し掲載しておりますが、Pixar社が本動画に正式な日本語訳を付与した場合にはそちらが正しいため、本コンテンツの掲載を取りやめる可能性があることをご理解ください。