ベン・ホロウィッツが伝える真のHARD THINGS

9月8日(火)と9月9日(水)に東京 渋谷のヒカリエにて行われている「Tech in Asia Tokyo 2015」似て、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の共同Partnerであるベン・ホロウィッツが来日し、日本の、そしてアジアの起業家に向けてあたたかいメッセージを語ってくれた

■ラウドクラウドの設立

最初の質問は起業家としてのベンの活動、すなわち著書「Hard Things」で赤裸々に語られた、出来事の復習であった。起業家としてのベンは、ハイアットマネージメントという当時のインテル社のCEOが書いた著書を参考にしていたという。ラウドクラウド社を99年に設立し、そのタイミングについては素晴らしいタイミングであったと語っていた。世界初のクラウドコンピューティングの企業が誕生した瞬間だった。だが、時期としては早すぎた。ハードウェアがこなれてないため性能がでないから、コストばかりがかかる。しかし、それは良い経験であり体験であったが出来た。

設立6ヶ月後にはリリース前に1億2000万ドルの予約を取り、9ヶ月後には2億7000万ドル売上を売り上げた。順調かに思えたが、その後、失敗するのであった。当時、ラウドクラウドにはIPOするしか選択肢が無かった。Private Equity Financeが出来なかったからだ。

IPOは地獄への道

創業から1年半でIPOしたことで、フォーブス誌で評価されたが、その後IPOへの地獄への道と書かれた。アドバイスできることとすれば、1年半で上場は止めた方がいい。だが、ラウドクラウドとしてはIPOをやるしかなかった。それしか選択肢がなかったからだ。CEOは意思決定するだけだから、簡単な問題、良いか悪いかで決断するのは非常に簡単である。それ以外の非常に難しい意思決定がある。この時の決断としては、上場して生き残って様々なメディアから批判されるか、倒産するかであった。結果として、上場してMAされたから株主にとっても良い結果だったが、将来どうなるかは分からない。

IPOに良いタイミングは、現在は良いタイミングではあまりないけれども、IPOに向けた準備をどれだけできるかに掛かっているといえる。その準備とはテクノロジーの会社ならば技術に投資しなければいけない。そして、会社として自分の株式持って、経営をコントロールできなければいけない。そうしなければ外部の投資家にいいようにされる。

また、キャッシュとのコンビネーションが必要である。ポジティブなキャッシュ・フローが必須ある。例えば、ウソでもマイナスの話が出てしまって売上が下がる、証券取引所のレギュレーション違反で、訴訟されるリスクも有る。そして、株価とはそういう様々な要素で決められている事を理解すべきだ。ラウドクラウドを経営していた時のセクターは、同業のクラウドコンピューティングの会社でエクセレスという会社が売上5億ドルだったが、その後すぐに倒産したがそういうセクターだった。とにかく当時は市場が壊れていたのである。

ベンは、寝ている時に泣いていたそうだ。母を呼ぶ子どものようにベッドで泣いた。その時、ベンは自問した。果たして今は悪い状況なのだろうかと?売れる市場が無い、スタッフもクビにするしか無い、母親も投資している、そういう様々な要素からすごく気分悪くなってしまったと、笑いながら話していた。

その時ソフトウェアとしてのクラウドサービスを作ることにした。テクノロジーとしては難しいことをやったから売却できるかな?と考えたわけである。つまりPivotだ。この時、倒産する前に出口がないかと考えたわけである。ラウドクラウドにとって転換期である。そして、ソフトウェアを維持することで出来たことだった。当時としては利益が無いので、株価が35セントぐらいになり、会社のストックの半分ぐらいの価値になっていた。

■スタッフのレイオフ方法

そこまで緻密な準備していなかったので、知人のビル・キャンベルからアドバイスをもらった。シリコンバレーは人を切ったら会社の経営がダウン傾向という悪いうわさが走る。いい会社とはコミュニケーションがとれている状態である。なぜなら同じ考えで一つにまとまっているからである。そして、コミュニケーションの前提は信頼であるとベンは語っていた。

実際に、シリコンバレー企業に勤める元Googlerのセールスエグゼクティブマネジャーと会話したが、結局は飲みニケーションみたいなものは存在して、自分の危機に際してお前のためなら働いてやるよというような仲間はシリコンバレーにもいるので、結局は信頼だと語っていたので、この話にウソは無い。このレイオフのキーポイントは、解雇することに透明性をもたせるという点である。株主に対するパフォーマンスではなく、資金調達が出来なかったからと正直に説明することが大切。そして、解雇したスタッフを最後まで見送ること。失敗してゴメンナサイという謙虚な気持ちで見送ることが大事なのだという。この話を聞いて、結局成功するのは、昔ながらの日本人的な基質が重要なのでは無いかと私は思った。

■モチベーションの保たせ方

2002年にIT関連で就職するのは難しかった。そのため、残ったメンバーのモチベーションを保たせるためには、良いクラウドのソフトを我々は持っているし、世の中の流れが変わってきてクラウドコンピューティングを求め始めていたからきっと大丈夫だと説明した。そして、我が社は良い会社だと見返してやろうと話した。自分のモチベーションを維持するための方法は、そんなことすら考えなかった。あるジャーナリストとの会話、何故こんなことをやり続けるのか?辞めれば?と言われたが、辞めるという選択肢が自分の中に一切なく、辞めるならなら死んだ方がマシだと思っていた。結局のところ、やらなければいけないという使命感でやっている。CEOはやめられない仕事である。ほとんどの多くの仕事は辞められる仕事だが、CEOを辞める覚悟なら起業すら辞めた方がいい。

■来場している起業家へのアドバイス

経営している当時、メンタル面はすごくよくなかった。経営している最中、すごく怖かったし、苦難だったと語っていた。Hard Thingsにも書いたが、2002年〜2003年頃に様々なCEOにあったが、みんな成功しているといったが、ほとんどその後倒産していた。だから、自分だけが失敗していると思わなくても大丈夫である。例えば、Facebookは人を選ぶのに失敗していた。マーク・ザッカーバーグは人を選ぶのが下手くそで彼はそれで、すごく苦しんだ。Facebookのユーザが1億人ぐらいで推移していた時だ。

いろんな人がいろんなことを言ってくる。だが、あなたがやるべきだと思ったことをやるべきだ。あなたが雇ったんだから、あなたがどうすべきか。もっとバリエーション以上の評価が自分で思っているなら彼ら(投資家)の話を聞く必要が無い。自分を信じろとマーク・ザッカーバーグにアドバイスした。非常にテクニカルな話になるが、当時のFacebookはログインすると5−6秒掛かって重かった。なぜならAPIでデータレイヤーにアクセスするのが今では当然だが、当時の技術者がDBにダイレクトにアクセスしていたため、DBサーバに負荷がかかっていたからだった。だから、ザッカーバーグに技術者のトレーニングはどうしているのかと聞いた。そしたら、していないといった。今までの技術者は来たら勝手に実装してくれていたと。

しかし、0から作って3年も立てば、そこにいる技術者は0から作ったわけでは無いから、今までやってきたことを教えないといけない。テクニカルトランスファーを行う必要があった。つまり、Facebookのためのプログラミング手法を教える必要がある。そこら辺をマークはちゃんと教えたので、現在はInnovationを行うことが出来ている。

■Hard Thingsについて

正直である誠実である事は面白いという。あなた達は今直ぐ、正直な人はだれかと問われたら、本当に正直な人を思い浮かべられないだろう。正直さには努力が必要だからだ。真実を伝えることは努力がいるのだ。相手が聞きたがっていることを言うのは楽である。自分のことを、本当のことを伝えることは難しい。ベンの友人で思っていることを何でも伝えてしまって問題を起こしてしまう人がいるが、そうなってしまう。

その延長として、会社の問題を製品の問題や、社内の問題等を赤裸々に説明するのは難しいこの問題って分かっているって社員に聞くのは怖い。嫌われるかもしれないからだ。でも、正直にしているとこう私が話していることを皆信じてくれる。正直にあるということは自分に対して、何年も掛かったが本当のことをいうことは大切だと思う。だが、会社に対して正直であることは難しい。公に言えないこともある。HARD THINGSは書いてくれた事を評価された。当時を思い返し、最も面白い事を入れた。ただ、かなり削っていてあと100個ぐらい入れられたはずだ。こんどはEasy Thingsという話は書けるかもしれないとベンは笑っていた。

■アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)について

ラウドクラウド売却後のa16zをマーク・アンドリーセンと設立する。VCは起業家を圧倒するかもしれないが、私の経験を伝えようと思って立ちあげた。とりあえずやってみるという言葉が好きだった。マーク・アンドリーセンは、感情的で論理的な人、我々の関係性はすばらしい。ただ、お互い批判的であるため、緊張関係になる時も多い。お互い正直なためそうなるのは仕方ない事だ。20年付き合っているが、毎日毎日意見が合わないが、仲は良い。

周りから、マーク・アンドリーセンの事を「友達?」と聞かれるが友達ではないと言っていて、親戚みたいな関係である。昼ご飯を毎日食べる関係でもないし、そういう関係にもなりたくない。ただ、マーク・アンドリーセンという存在は私にとってはギフトである。彼は18歳でブラウザを作った人であり、すごい頭の良い人でそんなことをやった人はいないでしょう?とマーク・アンドリーセンを褒めていたのは罪悪感がどこかにあったからかもしれない。a16zを設立後フォーカスしたことはブレイクスルーするような思考が必要であるという点である。良いアイディアはあるが、殆どの人が酷いと思うアイディアから始めた方がいい。良いアイディアで誰にでも分かるものは大企業が大資本でやってしまう。それではダメなのだ。Airbnbも酷いアイディアだったが、その秘密の要素を知っている人が大切である。自分の周りの人の課題を解決するようなアイディアが大切だ。

Seedsラウンドの投資後は、多くの会社で取締役をやっている。役員会議以外でも1vs1でもCEOの話を聞く。状況を聞いて、アドバイスを出す。しかし、決断はCEOが行うものである。社員を雇って顧客満足を上げることをわかっていない人も多い。例として、ある会社でMarketing Managerのパフォーマンスが上がっていなかった。知識も人望もあったが、パフォーマンスが上がっていない。それはその人物の使い方がわかっていなかったからだった。そこで、ベンはそのCEOに報酬について聞いた。株式の比率を聞いたが1.5%だといった。それでは彼女のMarketing成果に対するコミットが足りないと伝え、結果に対する報酬を付与することの意思決定をさせた。

■新エクイティプランについて

マーク・アンドリーセンと社員にEquity(ストック・オプション等)を配給する事の配分率と、沢山のEquityを渡しても貢献度が低い場合やその逆に貢献度が高いのにあまり渡していないという問題を解決したかったので、本問題の是正手法について話し合った。先日グルーポンが新しいプランを使った。臨界点を達成したらそれ以上は渡さないという仕組みをとった。VCよりもCEOの方が圧倒的に自社の内部への知識があるため業務へのアドバイスはあまりしない。しかし、業務以外のHRやMAや様々な事をアドバイスしている。

■リーダの見つけ方

リーダーを見つける時は、オリジナルの知識があるが、実行するには他の力が必要な人がたまにいる。その人自身に自信が必要である。巻き込むべきアイディアだとリーダーが信じることが必要だ。リーダーになるプロセスだと思う。真のリーダーはどこに向かうべきかを明確に分かっているものである。例えば、Twitterがメディアで色々言われていて、社長を変えてJack Dorseyに社長を変えたら株価が1/3程下がった。1997年にAppleがやるべき100のことに書かれた以外のことで復活した。スティーブ・ジョブズは創業者で会社の事をわかっていたから、Appleの問題買付方法は商品を良くすることだったと知っていたのだ。

エミリオは後継者だったが、ホリゾンタルな商品展開をすべきだと主張していたし、リーダーとしてバーティカルに決断してジョブズは成功した。他の人が信じていないことをやり遂げることがリーダーとして重要な素養である。そして、自分の考えに忠実であることだ。社会的なシグナルみたいなものに迎合しないということが大切で、政治家と真逆である。政治家は、例えばアメリカで同性婚を認めろと51%を超えたら迎合してしまった。政党を維持するためにはそれしか無いのだが、それでは起業家はいけないのだ。

そして、それは人の意見を聞かないというわけではない。自分の考えに取り込むということである。また、人の意見を丸呑みしてそのまま採用するということでもない。だから、頑固であるというということが起業家としての資質かというと間違っている。

■ゾンビスタートアップ

スタートアップの抜けられない地獄。無に成らないがどうにも成らないほうがずっと辛い。成長していなければゆっくり死ぬ方が悪い。一気に死ぬか、一気に成長するかしかない。成長できなければ、じゃあ売却しろというが、どこが買うのか?現在のサービスでは上手くいかないなら、Pivotするべきだ。アジアにアメリカのVCがどんどん投資をしているが、a16zはどうするのか?と聞かれるが、インドは自信がない。中国は面白いマーケットだが、アメリカでやったほうが成功する自信があるしまだ学ぶことがある。優れた起業家が多いのは分かっているが、中国ではビジネスのやり方が違うためアメリカ以外に投資するのは難しい。

■最後に起業家にアドバイス

自分自身に自問自答して欲しい。自分がこのアイディアが絶対だと思わないと、だめだ。そうしないと成功する起業家にも成らない。自分の友人知人に聞いてもらって、素晴らしいと言われないアイディアなら成功するだろう。この様に、ベン・ホロウィッツの暖かくも、厳しい指摘は我々Startupにどの様な作用をもたらすのか、今後が楽しみである。

最後に、たまたまチャンスがあってベン・ホロウィッツ氏からサインを貰うことが出来た。

Hard Things

お守りではないが、再度勇気づけられたので、更に前に進もうと思う。

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